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呼吸器外科
ごあいさつ
当院で最初の肺結核以外の呼吸器外科手術が施行されたのは、今からさかのぼること32年前、1986年でした。
その後、1,000例を超える原発性肺癌をはじめ、結核を含む難治性感染症や気胸など多くの患者さんの手術に携わってまいりました。
平成25年4月より、呼吸器内科とともに呼吸器センターの中心となる診療科として、協働して呼吸器診療に携わっています。
呼吸器外科の手術は専門性が高く、どの医療施設でも施行できるわけではありません。
日本呼吸器外科学会が認定した基幹施設は、広島市内には当院を含め、4施設しかありません。
(平成30年4月現在)
これらの施設では、呼吸器外科の業績や研修を修めた呼吸器外科専門医の指導のもと、安全で質の高い標準医療が行われています。
なかでも、当院は厳しい基準(手術症例数や経験年数、評議員による指導体制など)を満たして、“基幹施設”に認定されています。
呼吸器外科の特長
当科の特長は、①対象疾患が呼吸器全般にわたることと、②肺がんなどの悪性腫瘍の場合、診断から緩和まで、あらゆる病期の患者さんを受け入れていることです。
すなわち、肺癌の手術に偏ることなく、急性期診療に偏ることもありません。
一方で、呼吸器専門病院としての特性を活かし、結核や肺非結核性抗酸菌症などの特殊な感染症に伴う手術、COPD(肺気腫/慢性気管支炎)や間質性肺炎など、重症の呼吸器疾患を合併している手術なども、安全性の担保を条件に、患者さんやご家族の皆様の立場にたって、積極的に施行しています。
当科が得意とする手術
- 【肺癌】原発性肺癌に対する完全鏡視下肺葉切除術
- 【気胸】若年者気胸に対する胸腔鏡下ブラ切除術
- 【膿胸】急性期膿胸に対する胸腔鏡下膿胸腔掻爬術
- 【結核/非結核性抗酸菌症】肺感染症(非結核性抗酸菌症/結核)に対する胸腔鏡下肺葉切除術
【肺癌】原発性肺癌に対する完全鏡視下肺葉切除術
“縮小(低侵襲)手術”(自覚症状が無い小さな肺癌など)から“拡大手術”(胸壁に浸潤する大きな肺癌など)まで、最適な手術療法を行っています。
当科の肺癌手術の特徴は、診断から手術、術後の経過観察までの“一貫した治療システム”です。
手術の前後に抗癌剤治療が必要となったときも、呼吸器内科と協働して、呼吸器センター内で治療を行っています。
不幸にも、再発や転移をおこされた場合も、療養型病床を併せ持つケアミックス体制を活用して、呼吸器センター内で全ての治療を完結するよう努めています。
特に、2007年4月より、“胸腔鏡補助下肺葉切除術”(Hybrid VATS)を導入し、 2011年11月からは、これを進化させた“完全鏡視下肺葉切除術”(complete VATS)を導入しました。
この術式では、胸腔内をのぞきこむ操作がありませんので、創の大きさは摘出する腫瘍の大きさに依存することになります。
手術の創も、概ね2-5cm程度とさらに縮小し、胸壁に対する侵襲は大幅に低下しています。
術後の創痛や合併症は減少し、社会復帰への時間も大幅に短縮されました。
審美的にも満足していただいています。最新の高画質・高解像度の内視鏡手術システムを導入し、安全性の向上、手術時間の短縮に努めています。
肺癌の根治性や完全切除率の向上など、肺癌に対する手術療法としての本来の質がいっそう高まることが期待されます。

右下葉切除後の術中所見
肺血管、気管支は自動縫合器で切離されています。

術後創部
腋窩に5cm1か所、背側に2cm2か所の手術創で、時間が経過すれば手術創は目立ちません。
原発性肺癌手術症例数(1896~2018年)
原発性肺癌全切除成績(2011年~2018年)
【気胸】若年者気胸に対する胸腔鏡下ブラ切除術
若い男性に多い自然気胸から、COPD(肺気腫)や感染症、間質性肺炎などに合併する続発性気胸まで、全ての気胸の患者さんを受け入れています。
気胸には、様々な治療法がありますが、胸腔鏡手術も有効な治療法の一つです。
安全性が高いことはもちろんですが、早期に社会復帰が可能ですので、就学・就労世代の多くの患者さんが手術を受けておられます。
若年者で高率な術後再発率も吸収性シートの使用で改善しています。
また、高齢者における悪性腫瘍や膿胸を合併した気胸に対して、呼吸器内科と連携して、気管支鏡下の気管支塞栓術も積極的に行っています。
呼吸器センターでは、気胸ホットラインを設け、広島市内全域から、気胸を発症された患者さんを受け入れています。
手術を選択された患者さんは、概ね、入院後3日以内に手術が行われ、1週間以内に退院されています。
気胸手術症例数
当院は1953年3月に開院後、1986年8月から前院長 奥道先生が赴任され外科手術を再開しました。32年目の2018年9月21日には、気胸の手術症例が1000例に達しました。術式も変遷し、初期の腋窩開胸から1993年には胸腔鏡手術を導入しました。また術後再発予防のため2007年から吸収性シートによる補強を行い良好な成績を収めています。
【膿胸】急性期膿胸に対する胸腔鏡下膿胸腔掻爬術
肺膿瘍や胸膜炎に起因する膿胸に対し、以前から多数の手術を経験してまいりました。
現在でも多くの呼吸器専門施設・専門医の先生方から、ご相談・ご紹介をいただいております。
これら慢性化した重症の感染症は、治療も困難で、重篤化しやすく、入院・治療期間も長期にわたることがあります。
近年、急性期から亜急性期の膿胸や胸膜炎に対し、積極的な胸腔鏡下膿胸腔掻爬術を行っています。
これによって、従来では、数か月の期間を必要とした入院期間も、大幅に短縮することができるようになりました。
【結核/非結核性抗酸菌症】肺感染症(非結核性抗酸菌症/結核)に対する胸腔鏡下肺葉切除術
当院は60年前の開設当初より、結核の専門病床を有しており、中国地方でも最も多くの結核診療を行ってきた病院のひとつです。
本邦では結核の罹患率は減少傾向ですが、非結核性抗酸菌症は、年々増加しています。
近年、本疾患に対する手術療法のガイドラインが上梓され、急速進行型や、化学療法抵抗性を示すものの中には、積極的に手術療法を併用することが推奨されています。
当科でも、厳しい手術適応基準を設けて手術を行っていますが、年々増加傾向にあり、これまでに、手術の安全性や病状進行の抑制効果など、一定の成果がえられています。
今後も呼吸器内科との連携をはかりながら、患者さん一人一人に最適の治療を行っていきたいと考えています。
手術症例数
年度 | 肺癌 | 気胸 | 縦隔腫瘍 | 感染症 | その他 | 合計 |
---|---|---|---|---|---|---|
2013 | 46 | 32 | 4 | 13 | 4 | 99 |
2014 | 52 | 41 | 2 | 12 | 6 | 113 |
2015 | 50 | 38 | 3 | 16 | 6 | 113 |
2016 | 52 | 46 | 6 | 18 | 1 | 123 |
2017 | 43 | 46 | 4 | 29 | 7 | 129 |
2018 | 46 | 40 | 6 | 19 | 5 | 116 |
2019 | 51 | 45 | 2 | 15 | 3 | 116 |
医師紹介
氏名 | 奥道 恒夫 |
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役職/職名 | 顧問 |
公職 |
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卒業年次 | 昭和49年 |
指導医・専門医・ 認定医 |
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専門分野 | 呼吸器外科/一般外科 |
私の診療方針 | 推奨される治療と患者さんの希望もとり入れた最善の治療を心がけております。 呼吸器外科疾患に関しましては、何でもご相談ください。 |
氏名 | 宮原 栄治 |
---|---|
役職/職名 | 診療部長 |
卒業年次 | 平成元年 |
指導医・専門医・ 認定医 |
|
専門分野 | 呼吸器外科 |
私の診療方針 | 地域の皆様に、最新の体にやさしい呼吸器外科手術・肺癌治療をご提供します。 |
氏名 | 熊田 高志 |
---|---|
卒業年次 | 平成22年 |
指導医・専門医・ 認定医 |
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専門分野 | 呼吸器外科 |
私の診療方針 | 肺がんや気胸、膿胸等の呼吸器疾患に対し、患者さんやご家族に寄り添う医療を提供できるよう努力してまいります。 |